また、少なからず日本の歴史にも原因があると思っています。日本では昔から権力者の都合がよいという理由で、国民同士を相互に監視させる仕組みが用いられてきました。江戸時代の「五人組」であり、戦争中の1940年に制度化した「隣組」です。日本人の関わり合い、助け合って暮らすという性質をうまく利用したなぁと思っています。そのせいで、私たちは、いつも集団と違うことをする人を「異質」とみなし攻撃を加えようとしてしまいます。そろそろこの負の連鎖を止めたいですね。
「子どもの様子は社会の鏡」です。人の不幸をあざ笑う、嫉妬にまみれた大人の社会を見せるだけ見せておいて、
「子どもたちはマネするなよ」
「いじめなんてするんじゃない」
などという理屈が通用するはずもありません。
しかし「大人が悪い」「社会が悪い」といくら言っても、ちっともいじめから子どもを救うことはできません。国も「いじめ防止対策基本法」などを定めていますが、いじめの状況は千差万別なので、マニュアルだけで解決するというものではありません。
いじめが原因で子どもが自殺をしてしまったというニュースを聞くたびに、
「これが自分の子どもだったら……」
と考えて本当に胸が締め付けられます。