大学教授や経済学者が問題解決できない理由
1-2 管理職に期待するスキル群
管理職に求められるスキルをまとめたものは色々あるが、私は、経団連がまとめているミドルマネージャーに求められる基本的役割(ミドルマネージャーをめぐる現状課題と対応/一般社団法人日本経済団体連合会2012)がわかりやすいと思う。情報関係、業務遂行関係、対人関係、コンプライアンス関係の4つに分類されている。
小難しい感じがするので、私は「情報マネジメント(情報の大事さ)」、「テクニカルスキル(ロジカルに物事を整理したりポイントを絞り込んだりする技術的な能力)」、「ヒューマンスキル(他者と一緒に何かをするときに大事な要素)」、「人として大事なこと(自分が自分でいること)」と読み替えている。このような区分けは、それぞれが独立して機能することもないから、大して重要ではない。学生時代の科目のように無理やり区別したような話は実生活では稀であるし、管理職が必要になるような仕事という特性を考えると、厳密な区分けというのはなかなか難しい。
ではなぜ、このような区分を考えるのかといえば、自分自身あるいは自分が管理する組織のメンバーの能力開発を考えたりするときに便利だからである。
そして、いくらスキルに長けていても必要なところで活用しなければ、スキルがないのと同じなのであるから、「リーダーシップ(行動を起こすときに考えておくこと)」という要素も付け加えておきたい。要は、必要なときに必要な行動を起こすという意味合いのものである。
肩書やタイトルだけで物事が解決するケースは一般社会においてはほとんどない。「リーダーシップ」というものも、それだけで独立して機能することもない。「進むべき道は、こっちだ」と思えるような何かしらの考えや根拠があっても行動しなければ、行動していないのと同じである。モヤモヤするキーワードなので使い方には注意が必要だが、すべての行動の原動力は「リーダーシップ」という要素なのかもしれない。