俳句・短歌 句集 四季 2020.12.14 句集「抱く」より三句 句集 抱く 【第20回】 松永 みよこ ―春― 身に余るミモザ抱えて人を待つ 猫の恋吾よりいくばくかは清く ―夏― 膝頭抱いて鎮まぬ青嵐 幸せを温めなおす五月かな ―秋― 千の菊抱きてあまりにも一人 りりりるり鈴虫まねてけんか終ゆ ―冬― 雪うさぎ今消えゆきし身を抱き 酉の市ちがう男の手も温し 平成の句姫、みよこの初句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 あおむけに寝て痛みたる日焼けかな 雨露のもつれて落つる薔薇の上 空近くなりて震えし桐の花
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『ジュピターと仲間達 Jupiter & Friends』 【第10回】 ジェフリー 樫田 村を襲った山賊達に母上を連れ去られ…自分、弟、妹とジュピター、タイガー、フレイジャー三匹だけの食事 ユージンがそう言って先にテーブルについた。弟と妹も椅子によじ登って座った。三人だけの食事だ。いや、ジュピター、タイガー、フレイジャーの三匹も一緒だ。テーブルの上にある大きなサワードウ・ブレッドを見て、ラニーが聞いた。「お兄ちゃん、このブレッドはどうしたの」「ジュピターとお兄ちゃんが朝、森の中に入ってお婆からもらってきた」ユージンがジュピターを見ながら答えた。「森のお婆?」ラニーが目をこすりながら…