「さぁ、始めよう。脱いで」

私は、バスローブを脱ぎ、又さっきのポーズをとった。

「いいよ」

神矢はパレットに絵の具を出して混ぜ始めた。揮発性油の独特の匂いがした。

「油絵って、こんなに匂うのね」
「嫌かい?」
「ううぅん。アトリエって感じ……」
「そのうち慣れるよ」
「そうね……」

神矢は黙って描き始めた。難しい顔をしたり、納得したような顔をしたりして、描き進んでいった。裸でジッとしている私は、時間の感覚がわからなかった。

「もう四時半だな。今日はここまでにしておこう」と神矢が言った。私はパンティをはき、ブラジャーをつけようとしていた。すると、彼がこっちへ来て言った。

「さわっちゃダメかい? ……」

私はポカンと、彼を見上げた。

「いいわ……」

彼は私の隣に座った。そして左腕を私の首に回し、私を支え、右手で私の左胸を覆った。私の小さな胸は、彼の大きな手のひらの中におさまった。彼はその手をゆっくりと揺らした。

「あっ……」と私は小さな声をたて、のけぞった。彼はその私の首筋に顔を寄せてきて、耳元にキスをした。

そうしながら、左手で髪を何度も撫でた。私は上気して、体が熱くなった。

「抱いて……」
「………」

彼は黙って愛撫し、右の胸も撫でさすった。