第1章 幼少期~中学時代

【ヤクルト】

私が小学1年くらいの頃、100m世界最速(当時)のベン・ジョンソンという選手がいた。オリンピックで金メダルを取り話題となっていた。

ある日、自宅で遊んでいた私に

母 「ソート! ベン・ジョンソン、ヤクルト飲んでいたから失格になったってよ!!」

と言ってきた。

私はまだ幼かったので試合前にヤクルトを飲んだらいけないのだと思った。

それから3日後の晩、父によりヤクルトではなく「薬物」だったことを知った……。

母よ……。

【交通事故】

小学生の頃のある日、学校が終わり帰宅した後、友達と遊ぶ約束をしていた。

早く友達と遊びたい一心で私は急いで着替えを済ませた。

そして、勝手口のドアに鍵をかけ自転車にまたがり家を飛び出した。

しかし、次の瞬間に「ドォォォン!!」。

塀で死角になっていたため、車に気がつかず思い切り衝突した。

薄れゆく意識の中で車の運転手を見た。

父だった……。

【すき焼き】

小学生の頃、その日は夕食が“すき焼き”だった。

兄と私は“すき焼き”が大好きだったため、かなりテンションが上がっていた。

父も仕事が終わり一家4人で食卓を囲んだ。

兄と私 「いただきま~す」

意気揚々とまずは豆腐から食べようと鍋に手を伸ばした。しかし、

兄と私 「おええ、この豆腐まずい!!」

それをみた父は激怒した。父は当時とても恐い存在だった。

父 「お前らもう食わんでええ!! せっかく母さんが作ったのに!」

夕食時の食卓が一気に張り詰めた空気になった。

父 「豆腐はわしが食べる!!」

お酒も入っているせいか怒りが頂点に達していた。私と兄は恐怖で体がすくみ上がっていた。

そして、父が豆腐に手を伸ばし口にした。

父 「おええ、これ腐っとるやないか!!」

その日の夕食は静かに幕を下ろした。