第3章 世界のパラダイム
ビフォアコロナ アフターコロナ
8 自然支配から自然との共生へ
欧米は自然を支配し、日本は自然と共生するという考え方があります。
どの国の自然観も宗教と密接に結びついているわけですが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は砂漠の宗教といわれます。自然条件の厳しい場所で生まれた宗教は、自然を克服しなければならないものと考えたのは自然なことです。これに対して、森林の宗教といわれる仏教、神道は湿潤な地域で自然の恵みを受けながら発展してきましたので、自然と共生するのも自然なことでした。
現在の科学文明は欧米を中心に発展してきました。人間と自然を対立させながら発展してきたことで、自然破壊につながっていきました。
一方、日本は古来、自然の中に魂が宿ると考え、自然に畏敬の念をもって生きてきました。パリのギメ博物館の創設者エミール・ギメは、1876年訪日して、自然と共生した日本人をみてこんなことを残しています。