ここにあるフレーズがあります。

信念が変われば思考も変わる
思考が変われば言葉も変わる
言葉が変われば行動も変わる
行動が変われば習慣も変わる
習慣が変われば人格も変わる
人格が変われば運命も変わる
 ※注

これは「インド独立の父」として知られる宗教家マハトマ・ガンジーの言葉ですが、ものごとの因果律をわかりやすく述べています。

わかっていてもなかなか行動に移せない、移さない。そうした社員が存在することは企業にとって普遍的な問題です。

やらなければならないことはわかっているのですがなかなかできない。改めなければならないとわかっていながら、それでも実行に移せない。私はこんな相談を山ほど受けています。

こうした問題を解決するためには、ガンジーが述べているものごとの因果律を理解した上で、“自覚のドミノ”を倒すのです。

私たちがこの因果律で最も弱いのは行動です。いいとわかっていても、ほとんどの人がすぐ行動に移しません。

仕事ができる人は、行動への転換が実に早いものです。ポイントは行動のドミノのひとつ前、言葉のドミノにあります。

言葉のドミノを倒さないと行動のドミノが動きません。信念にはじまり運命(企業の業績)につながる一連のドミノで最も大事なものは言葉のドミノです。ちょうど車を動かすときのスターター役になります。

[図]  自覚のドミノ

スターターボタンを押さなければエンジンがかかりません。行動に移せない人たちにはこのスターターボタンがないのです。

スターターボタンの役割を果たすのが言葉です。私たちは言葉がなければものごとを考えることができません。

また言葉の限界がその人の行動の限界でもあります。行動には自覚が不可欠です。

自覚なしには動くことができません。あそこに行きたい、こうしたいという自分の思考が体を誘導し、願う方向に努力させるのです。

「あなたはあそこに行きたいのだと思います」と他人に言われても、自覚がなければその場にたどり着くことはできません。その自覚を促す道具が言葉なのです。

企業は行動力を促す言葉を道具として教育を行い、価値を生み出す努力をすればよいのです。実際、私は何年もそうした教育を行ってきました。さまざまな悩みや苦難を経験する中で、行動することこそが問題解決につながると学んだ人たちが、行動力を身につけていくのです。