分かりやすく解説すると、お父さんの中で作られる精子は、XかYの何れか二種類の精子として作られる。

一方お母さんの方では全てX染色体一個を持った卵子が作られる。かくしてお父さんとお母さんがひと汗かくことにより、お父さんから発射された一回凡そ三万個のXY二種類の精子が、Xの卵子の元へ泳ぎ着き、めでたく受精となる。XXならお姫さん、XYなら王子さんである。

X×X=XX(女性) X×Y=XY(男性) 以上は常識的状態であるが、偶(まれ)に非常識的受精が起きることがある。

例えば、四六個であるべき染色体がそれより多かったり、少なかったり、二個あるべき性染色体が三個あったり、一個しかなかったりする場合がある。

このような時に、異常が起きる。外見は男性であるのに内性器が女性であったり、その逆が起こったりする。あるいは外性器が男女どちらとも取れない、半陰陽(はんいんよう)の場合もある。さらに非常に珍しいケースであるが、両性器具有(ぐゆう)もある。

へそに近い方に男性器、その下に女性器を具有している。既に舶来のポルノビデオでご存知の方もあろうが、我が国においてもこの記録がある。確か戦国時代以前の戯画(ぎが)にはっきりと書き残されていた。

現代では医学的解明がなされ、できるだけ早い時期に本来の形になるよう、外科的手術がなされるようになった。

かくの如く人間の場合はいささか複雑であるが、生物界全般では性の転換という現象はしばしば見られる。下等な生物ほどこの現象は著しい。

例えば「貝ボタン」の原料として有名な「シロチョウガイ」は若いうちはオス→メス→オスと性が変わり、三年目に落ち着いて性比が等しくなる。