国の指定難病である「パーキンソン病」。
手足の震えや動作の遅れが、長い年月をかけてゆっくりと進んでいく病気です。
もし「パーキンソン病」と診断された場合、本人や家族がまず知りたいのは「この先、何年でどこまで進むのか」かもしれません。
しかし、パーキンソン病の進み方には個人差が大きく、「何年後にどうなる」と一概には言えません。だからこそ、実際に歩んだ記録が、これから先を考える手がかりになります。
本記事では、「パーキンソン病」と診断された妻を18年間介護した宮本亮慈氏の著書『老老介護18年 パーキンソン病の妻を18年間介護した記録』(幻冬舎ルネッサンス)から、診断を受けてから看取るまでの経過を、著者が作成した年表と本文の抜粋で紹介します。
【年表】パーキンソン病の診断から看取りまで、18年の経過
要介護認定を受けて介護保険を使い始めたのは、診断から何年後だったのか。車いすが必要になったのはいつで、要介護5になったのはいつだったのか。
著者は、診断を受けてからの日々を次のように振り返り、一枚の表にまとめています。
パーキンソン病に対する医療と体の動きに制約が出ることに対応しなければならない介護が同時に始まり、薬を飲み、歩行訓練などをしながら、初めはこれまでとはあまり変わらない生活が始まりました。
年の経過とともに飲む薬の内容や量が変わり、介護の内容が変わっていくのですが、異変に気づき困惑した時から始まった生活に、どのタイミングで何が起こって対応したかをまとめたのが次の表です。
『老老介護18年 パーキンソン病の妻を18年間介護した記録』(幻冬舎ルネッサンス)より
要介護2の認定を受け、介護保険の利用が始まったのは診断から4年後のことです。
著者は当時のことを、書籍内でこう振り返っています。
介護保険利用開始
介護保険がどのようなものか。介護保険料は年金からの天引きで納入しているという認識はありましたが、どのような時に、どのように使えるのか全く知りませんでした。
ケアマネージャーが適切に助言、対応をして下さっていろいろな場面で利用することができることを知りました。
最初に介護保険のお世話になったのが、歩行の時補助具として使用した杖でした。
杖と同じ年には室内用の車いすも使い始め、診断から7年後には屋外用が加わりました。
車いす
もちろん車いすはレンタルしました。最初は室内用に最も小型の物、次の段階では室内用の他に、屋外で使用する少し頑丈な物と2台。
後期になると、体を真っ直ぐな位置に保つことが難しくなり、特に後ろに倒れることが多くなったので、後ろへの倒れ防止が付いた車いすをレンタルしました。
介護保険を利用したレンタルでは、室内用、屋外用、それぞれ1台ずつ2台のレンタルはできるのですが、室内を移動するには、特にトイレと洗面所、その他ドアのある所を移動する時は、小型の物の使用が必要で、室内用2台はレンタルできないとのことで、使用していた車いすを1台購入しました。
診断から5年後には、妻のデイサービス通いが始まりました。
デイサービスは、患者である妻の生活リズムに変化を与えるだけではなく、介護をする著者が、日々の用事を済ませる際や、息抜きとしても重要な存在だったといいます。
デイサービス
終日自宅だけの生活では単調になりがちになるので、多くの人に会うことができ、生活のリズムに多少変化があった方が良いのではないかというケアマネージャーの勧めもあり、デイサービスを利用することを考えました。
加えて、日常生活では、日々の食料品、日用品の購入や役所、金融機関等への私の外出は必ず必要で省くことができません。
そのような時のためと、介護する私の息抜きのためにデイサービスを利用することを妻に提案したところ、賛成してくれてデイサービスの利用が始まりました。
利用頻度は体調との関係もあり、多少の変動はありましたが、介護期間全体で集計したところ、介護施設の利用により11%ほど、私が介護から解放される時間が確保できていたようでした。
妻の発症から9年。幻視や妄想が始まった頃から、著者は毎日の介護日誌を付け始めます。
介護日誌
経過年8年までは、何かあった際にメモを残す程度の記録が主なものでしたが、経過年9年からは毎日日誌をつけることにし、手元に保管された日誌はB5のノート11冊になりました。
必ず書いたことは、起床時間、就寝の時間、食事の時間、食事の様子、服薬の時間、服薬の様子、デイサービス施設への送迎の時間、シャワーの時間、トイレの様子などです。
特に中期以降の日によっての体調変化、幻視、妄想、思いもよらない行動の変化は、次に同じような場面に遭遇した時の参考になるので克明に記録しました。
全体を通して見ると、比較的何事もなかった時期、幻視、妄想、思いもよらない行動が激しかった時期には山や谷があり、一方的に悪化の傾向ではなかったことがはっきり分かりますが、トイレ事情は悪化の傾向が見られました。また、薬の服薬拒否が新たに出てきました。
この日誌だけを見ると、書かれていることが全てのように捉えてしまいがちですが、通常から突出したことのみが書かれていることは見逃してはならない観点で、何事もなく平穏に過ごせた時間の方が多かったのはもちろんです。
パーキンソン病の一般的な経過と、個人差について
難病情報センターの公式ウェブサイトによると、パーキンソン病は、ふるえ、動作緩慢、筋強剛(筋肉のこわばり)、姿勢保持障害(転びやすいこと)を主な症状とする病気で、転びやすさは病気が始まって数年してから起こるとされています。また、現在のパーキンソン病の平均寿命は、全体の平均とほとんど変わらないと考えられています(※1)。
ただし、症状の現れ方や進む速さには個人差が大きく、経過は人によって異なります。ここで紹介した記録も、あくまで一組の夫婦の例です。
気になる症状やこの先の進行状況については、まずは主治医に相談してください。
介護保険やサービスの利用については、お住まいの地域の地域包括支援センターやケアマネージャーにお問い合わせください。
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療を目的とするものではありません。また、記載の内容は著者の家族に起きた記録であり、症状の現れ方には個人差があります。
※1 出典:難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)」https://www.nanbyou.or.jp/entry/169
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