収支トントンの場合、その社員の時間単価は給料単価の2倍の5746円です。たとえ毎週2時間の教育を行ったとしても何の工夫も心構えもないままでは、新たな利益を生み出すことはできません。生産のための時間を割いて行っていたとしたら、かえって利益を減らすことになりかねません。
つまり1回当たり2時間の教育をいかに濃密なものにすることができるかがカギを握ります。年間96時間の教育投資で効果を波及させていけるよう考えなければなりません。
教育効果倍率2倍では、現状を変えることはできません。3倍の8619円から効果が出はじめ、20倍の5万7460円の時間単価を目指せば、96時間で500万円の利益増加要因となり、給料の3倍の成果を獲得することができるのです。
最初からいきなり時間単価5万7460円相当の教育を行うことはできません。プログラムに改善を重ねながら、8619円、1万1492円……と徐々に価値を高めていく努力を行うべきです。企業の実情、経営者の方針に基づき時間単価目標を定めるのがよいでしょう。
これで人を資産として育てる場合に必要な時間価値の金額換算ができ上がりました。
もし、企業がある社員のために、5倍の教育効果をもたらすことを想定した教育を行えば、時間単価は1万4365円となります。この内容の教育プログラムを年間96時間実施すれば、137万9040円の潜在的な資産を生み出したことになります。同様の教育を受けた社員が5人いれば、689万5200円に匹敵する資産を保有したことになります。
これが未来をつくる原動力となります。漫然と他社に倣(なら)っているだけでは新たな利益を生み出すことは難しいでしょう。人を資産として育て上げるという確かな決意のもとに目標時間単価を設定してはじめて大きな可能性が出てくるのです。