来ない! どうして来ないんだ! 仕事が忙しかったんだろうか。愛しているのに! 僕の事、愛していないのかな。でもどうして……僕は会えなくて辛いのに。

苦しい。翌週、月曜日から金曜日まで毎日待った。僕は何をしている? 美樹に振られたんだ。

金曜日、腹が立つ。諦めよう! カッシュの後ろのボックスシートの三十代らしき女性がこちらをちらちら見ている。

誘ってのポーズ。頭に来ているので、誰でもいいやと誘ってみたら、案の定すぐ付いてきた。近くのラブホへ。勢い任せに抱こうとしたが、気分が乗らないし、息子が起きない。

えっ! 何で! 

この女性に感じない。抱きたくない。自分に言い聞かせた!

『どうした! 涼真』

言い聞かせるが、勃起しない。

理由は分かっている。美樹だ。美樹の事を考えると起き上がりそう……でも、女性を見ると萎える。

『待て! わぁー、どうしよう!』と焦る。

美樹にしか反応しない。余計に腹が立つ。

あれから、二か月、毎日、毎日、美樹の事ばかり……僕は初めてだ。特定の女性にしか反応しないなんて。悔しい。

何故だろう。胸がチクチクする。ああ、出勤前のスーツが似合わない。スッキリした気分で着られない。顔が冴えない。

毎日、美樹の事ばかり考える日々。毎日、夜が長い。考えないように仕事に没頭した。

友人達も女性を紹介するが気分が乗らない。美人、グラマーな女性、可愛い女性、だめなんだ! 美樹じゃないと……。

あんないい女には出会えない。はぁ~、ふぅ~。自然に出るため息。

……三か月が過ぎ、そんなある日、友人から

「涼真、皆で飲むから参加しないか」

「ああ、分かった。いつもの居酒屋だな。六時了解」

一人でいると美樹の事ばかり。最近は憎しみに変わりそうだから嫌になる。可愛さ余って憎さ百倍。でも、やっぱり会いたい。

こんなに、こんなにも女性に惚れたのは初めてだ。居酒屋に六時に着いて、みんなでワイワイ楽しんでいた。久しぶりに会った友人も居て大笑いした。

八時過ぎ、アベックが入って来た。聞き覚えのある声がした。

 

「ひとりの夜に、こっそり読みたい大人の恋愛ピックアップ」の次回更新は9月10日(木)、22時の予定です。

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