プロローグ

その日も太陽は高く、真夏の日差しが容赦なく照り付けていた。

一学期最後の登校も終わり明日から夏休みという状況にもかかわらず、光一の表情は暗く足取りは重かった。

それは決して一学期の成績が悪かったわけではなく、れっきとした理由があった。

光一が家に戻ると玄関には見慣れない靴が数多く並んでおり、奥から人の話し声が聞こえてくる。状況を察した光一は思わず舌打ちをした。

「ちっ、もう来たのかよ、あのババアども」

光一は眉をひそめ、思わず悪態をつく。

気の向かないまま奥の部屋へと向かい居間の襖を開けると、中からクーラーの冷気とともに異様なオーラが漂ってきた。

光一は挨拶もなしに居間の三人の訪問者を視認する。それと同時に向こうも光一の方へと視線を向けた。まるで鑑定するような無機質な視線に光一はさらに腹を立てた。

「コラ、光一。遠藤家の方々にきちんと挨拶をせんか」

光一の父である源蔵が叱咤するが光一は気にする様子はなく、無反応のまま来訪者の三人をジッと見つめた。

設楽家と遠藤家には何百年という途方もない歴史の積み重ねがあり、永劫ともいえる年月の間、ある力を使い日本を守ってきた。

遠藤家の三人のうち二人は年老いた女性である。小柄な体に白髪、齢八十は超えているがその鋭い眼光だけは全く衰えていない。二人はまるで双子のように同じ服装、同じ髪型、そして同じ雰囲気を醸し出している。