(村木)

最初の頃は、ねぎらいのつもりで、帰る前にお茶を入れてあげたことも迷惑そうでした。余計な気を遣えば、かえって角が立つようです。

あれ以来何となく気まずくなり、“触らぬ神に祟りなし”と、避けるように過ごしていて、お互いに顔を合わすこともなくなりました。

子どもの、たどたどしく弾くピアノの音が聞こえてくると、落ち着いていられません。

しばらくの間、私は迷惑にならないようにと、ピアノ教室がある日は二階の部屋にも鍵をかけて、教室が始まる前に家を飛び出るようになりました。

喫茶店で読書をしたり、ショッピングモールのお店を冷やかしたり、時には町内会の役員会に出かけたりして過ごすことが、私の気分転換の日課となりました。

今ではちょっと寂しいけれど、そのほうがお互いにすっきりしてよかったのかもしれません。

でも教室のない曜日には、共用スペースとして自由にリビングに入れるのですが、我が家であって我が家じゃないような、変なよそよそしさを感じて、なるべく入らないようにしました。