【前回の記事を読む】突然、大量吐血して救急搬送…だが「自分は死なない」という謎の落ち着きがあった。なぜなら私は医者で、何となく予測はできたから…

第一章 がん専門医師、がん患者になる

その1 大量吐血した日

2023年4月12日(水)「闘病1日目」

その日は突然やってきた! いつも通りに朝食抜きで、クリニックの自販機でスポーツドリンクを購入。体調不良もなく、通常通り診療開始。

午前11時00分頃、何となく吐き気、腹部に不快感あり。昨日の酒のせいかと思う。

11時30分、トイレ2回、黒色の軟便。何かおかしいと思いつつ昨夜のつまみの韓国海苔の食べ過ぎのせいかと思う。

12時00分過ぎ、顧問社労士さんを面談後に見送っている時に吐き気が出現し、患者用トイレで嘔吐。鮮血ではないがコアグラ(凝血塊)混じりの吐血。同時に眼前閃光感とふらつき。皆に声をかけ第1診察室のベッドで横になる。帰り際にもかかわらず2人の看護師、TさんとMさんが対応してくれた。

N市立病院耳鼻咽喉科の後輩MS先生に直接携帯電話がつながり、救急外来(ER)紹介を依頼(院内には不在で学校健診中だった様子)。同時に看護師Mさんが病院に電話すると、もう一人の後輩MT先生につながった様子(笑)。

すぐに着替えて妻の車で病院へ向かう。途中病院から電話があり、ERへ行くよう指示された。当日はクリニックの大掃除で清掃業者が終日いたため、その間、Mさんがクリニックの留守番をしてくれて助かった。

13時00分頃? N市立病院駐車場に到着し、徒歩にて玄関まで行こうとするも立ち上がれず、妻の押す車いすでER到着。20年前に自分はこの病院に勤務していたため、こんな場面でも顔が割れてしまっている。

受付後すぐにER看護師Wさん、消化器内科ドクターJが来て対応してくれた。

たぶん20G(ゲージ)という少し太めの針で点滴ルートを取って採血、血液ガス分析、心電図(ECG)、腹部超音波エコー検査などを実施。その間、体調に著変なし。胸部レントゲン(CXP)、腹部造影CTは車いす移動で出来た。上部消化管出血の疑いで緊急胃カメラ検査および止血術となった。

15時00分頃 オンコールで呼ばれて内視鏡室へ。懐かしの看護師G君と再会。耳鼻咽喉科の先輩で部長のS先生も見ていた様子であった。横になりバイトブロック(カメラを噛むことを防止する目的の補填具)を噛んで開始した様子で、鎮静剤のおかげであまり覚えていないが結構つらかった印象。止血が終了し帰室するまでのことと、その後の説明のことはほとんど覚えていない。

かなり胃に凝血塊(コアグラ)が溜まっていた様子。朝までに2回黒色軟便多量。尿はほとんど出ていない、出血による循環血液量減少(ハイポボレミア)のせいか? 夕方、妻が着替えなど荷物を持ってきてくれたようだが、コロナ禍の面会制限で面会出来ず。バッグにいろいろ入っていて重かったが、看護師に準備が素晴らしいですねと褒められる。妻に迷惑をかけてすまないとつくづく実感。

夕方、先輩S先生が来てくれた。

救急外来(ER)での採血の結果、貧血の程度を測るヘモグロビン値Hb:12・0g/ dL。何と以前勤務していた時の2003年のデータがあり、その時はHb:14・5g/dL (単純計算では、約600〜800mLは出血していたと思われる)。出血による貧血があったが、意外と肝機能は正常、エコーでも脂肪肝などはなく、その他明らかな異常なし。