つまり本書は、「すでに一定の努力を重ねてきたにもかかわらず、次の一歩が見えない人」に向けて書かれています。
ただし、本書で扱う内容は特定の投資手法や年収帯に限定されたものではありません。投資経験の有無に関係なく、働き方と人生の在り方について真剣に考えたいと感じているすべての方にとって、自分なりの判断基準を見つけるための材料になるはずです。
私は、いわゆるFIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指して人生を賭けたわけではありませんし、最初から会社を辞める覚悟を固めていたわけでもありません。
むしろ、会社員という立場を活かしながら、不動産投資や太陽光発電、さらには海外赴任といった経験を積み重ねることで、少しずつ自分の中の選択肢を増やしてきました。
その過程で気づいたのは、「自由とは、選べる状態にあること」であり、その選択肢の広がりこそが、人生の安心感や納得感に直結していくという事実でした。
やがて私は、「辞めたいかどうか」という感情ではなく、「いつ辞めても困らない状態にあるかどうか」という視点で、自分の人生を捉えるようになっていきました。それは言い換えれば、「辞めなくてもいい自由」を手に入れるための思考への転換でもありました。
世の中には、FIREや早期退職を勧める情報があふれていますし、それらが魅力的に映ることも事実です。しかし、私自身は仕事そのものが嫌いだったわけでもなく、成長の機会を手放したかったわけでもなく、何かから逃げるために辞めたいと考えていたわけでもありませんでした。
ただ一つ言えるのは、自分の人生の主導権を、会社という一つの組織に完全に委ね続けることに対して、どこか違和感を抱いていたということです。
だからこそ私が選んだのは、「最大化ではなく最適化」という考え方に基づき、無理にすべてを変えるのではなく、自分にとって最も納得感のあるバランスを探しながら、「辞めなくても自由でいられる状態」を構築していくという道でした。
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