■市内のどこで採集する?

朝鮮に到着後、すぐにホテルでの採集を行った私でしたが、一つ心配なことがありました。

それは、「どこで採集を行うか」という調査計画がほぼ白紙だったからです。漠然と朝鮮の環境が良いという感覚は持ち合わせていましたが、特定はできていなかったのです。

そのため、案内員に相談し、採集を行う前に現地の著名な昆虫学者であるファン先生と面会することになりました。そして、平壌市内での採集場所に関する情報を教えてもらえたのです。

先生にお話を伺うと、平壌市内では主に牡丹峰(モランボン)、龍岳山(リョンアッサン)、中央植物園、そして大城山(テソンサン)で採集を行うことを薦めてくださいました。

このようにアドバイスをしてくださったファン先生は、朝鮮の生物学・動物学関連の雑誌に幾度も昆虫に関する論文を投稿されており、私も以前から文献で先生のお名前を把握していたので大変嬉しく、光栄でした。(残念ながら数年前に他界されました)

先生は日本の大学で学び、帰国してからは朝鮮で研究を続けてこられたそうです。

ただ、採集場所に関する議題から昆虫類の種の特徴の話になると、時に互いに少し内容が通じなくなり、その原因が先生の指している生物名と私の認識がずれていたからでした。

先生が細かく説明してくださるのを聞いているうちに、なんとなく全貌が明らかになってきたので確認してみると、先生はもともと昆虫の研究者ではなくて、ミジンコ専門の研究者だったのです。さすがにその時は、(ミジンコかぁ〜〜い!)と思ってしまいましたが、しかし、大変有益な情報を得ることができて一安心しました(写真6)。

写真6 ファン先生と記念撮影