確かに彼は素敵だった。大人の余裕に満ち溢れた雰囲気、溜め息混じりの色気のある話し方、そして知的でユーモラスなトーク。好きになるのはもはや時間の問題かもしれない。店で身体を触られた時も、少しも嫌な気はしなかった。むしろもっと、彼に触られたくて仕方なかった。

「セックスするのは、また今度にしませんか? 今日は仕事終わりだし」

疲れてるよね、ごめんと謝る彼に私は必死に弁解した。

「いえ、そうじゃなくて。どうせセックスするなら最高の状態でしたいと思ったので」

最高の状態とは一体何なのだろう。自分で言っておいてよく分からなかった。
結局この日はドライブしただけで、ショウ君と別れた。家に帰ると時刻は二十四時を過ぎていた。

当たり前のように、旦那はもう寝ていた。本当によく寝る人だ。そして、明日の朝も私より早く起きることなど絶対にありえない。

翌日は、友人の結婚式があった。蛇口から出る水はまだまだ冷たいが、もう二月も半ば。春を意識して明るいコーラル色のワンピースを身に纏い私は式に参列した。お飾りで旦那も連れて行った。

友人夫婦には、二、三度会わせたことがある。祝儀は倍払うことになったが、一人で行かずに良かったと安堵した。友人は私と同じ中学の同級生を何人か呼んでいたが、その中に仲の良い者は一人もいなかった。友人夫婦の晴れ姿を見ながら、自身の結婚式の回想にふけった。

「一生に一度なんだから」そんな言葉を盾に、費用は惜しまなかった。アルバムの写真を十枚増やすのに、二十万円もかかった。一度しか着ないドレスに、百万円も払った。

終わってみれば、なんてことはない。無駄遣いだった。そう思わざるを得なかった。