ちょっと会わないうちに、人が変わったように、舌鋒鋭くまくしたてる二人にびっくりして、圭吾は彼らの顔を舐めるように見つめた。

「なんか、未希ちゃん、ちょっと会わない間にすごくエキサイトしているね。いっぱしの弁士じゃないか。圧倒されるよ」

「何、言ってるの! 圭が言いだしたことなのよ。わたし、圭みたいにそんなに問題意識高くないから、その先輩のこともとてもショックだったしね。わたし、恵まれすぎているんだなってつくづく思ったわ」

「まあ、未希ちゃんだけじゃない。ぼくもそうだ。そういうことを話す友だちもいなかったしねえ」と静男がつぶやく。

「圭がわたしをからかうなんて。さあ、もう行かないと授業が始まるわ。あの先生の授業、面白いのよ」

未希が笑いながらぼくを引っ張り上げる。相変わらずの元気よさに、静男も「未希ちゃんのパワーはすごいからなあ」と、顔をクシャクシャにしながら笑っている。

「あの先生の迫力には圧倒されるねえ。あー早く行かないと、席、取られてしまうよ」「圭、えらく燃えているね。また先生の真ん前、陣取って喰らいつくんでしょう」「圭にスイッチが入るとすごいからね。先生も気圧されてるもんな。でもうれしそうなんだ。時々ニヤッと笑ってるよ」

「フフッ、よく見てるわね。あの授業は活気があるからね。圭だけじゃない、多くの学生が燃えてるんだもん。目の色からして違ってるからね」

「先生、年の割にパワー全開だからね。生ちょっろいコイツら、気合で叩きのめしてやろうと思ってるんじゃない。この社会を覆っている閉塞感をなんとかしたいと、地団太踏んでるのよ。鬼気迫る気迫にこっちが圧倒されるもん」

臓物をつかみ取られそうな威勢のよさに、ぼくの心の奥底に、ずっと漂い続けていた得体のしれないモノは、どこかに霧散していた。

授業が終わり、前よりもまして喧しい論議が始まったのは当然のことだった。

心のなかに焼きついた黒雲を切り裂くように口火を切ったのは、いつも聞き役に徹している静男だった。「意外だったなあ。あんなうすら寒い策略が暗躍していたのか。誰も知らないだろう」

「本当ねえ。誰にも知られないように、悟られないように、真綿で首を絞めるように……って、なんだか空恐ろしくなって、暗闇に放り込まれた気分になったわ。あんな卑怯なやり方で賃金が上がらないように仕向けていたなんてねー」