『源氏物語』の男女関係
源氏物語は世界的な文学といわれるが、そのあらすじは、現代人の感覚では皇室不敬罪、姦淫罪、青少年保護育成条例違反、重婚罪、監禁罪、不貞罪で姑息なチャラ男の淫乱小説にもみえる。私は文学博士であるが、『源氏物語』を読んだことがない。官能エロ小説程度と軽蔑していた。
しかし、瀬戸内寂聴『源氏物語の愛』は、源氏物語が古代の家制度と情念の描写だという。そこで、男女関係史として源氏を読みなおしてみた。
『源氏物語』は、桐壺(きりつぼ)帝の皇子が臣籍降下して源氏を名のり、一二歳の時に帝の後妻、母に瓜二つの藤壺と通じるという早熟な書き出しから始まる。
高貴なので、後に左大臣の娘、葵の上の婿となるが、高貴ゆえにこれを避け、他へ妻問いして妻の屋敷に居つくことがない。
葵の上は源氏が通わないので夜離(よが)れとなる。「表2 源氏の女性関係」に、源氏の主な妻問い、異性関係を一覧にした。
源氏の交際初期の年齢、交際女性の年齢については、物語のなかでも異同・矛盾があり、不明な点も多い。女子の立場・特色、源氏の対応、男女関係、女性の結末については、筆者の推量が入っている。
また妾と愛人関係を物語上で区別するのは難しい。ここでは、先に紹介した『源氏物語の結婚』が提示した「正妻―(通い所)―愛人(一時的な関係)―(使用人)―行きずり」という古代家族に関する仮説にもとづいて整理した。
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