バイク旅のスタート地点とゴール地点をロサンゼルスにする場合、ゴール直前でバイクの名前の由来となっているバハ・カリフォルニア半島(BAJA)を通る。そこの砂漠地帯は旅の目的地の一つとして絶対に外せないし、ゴール直前の、自分自身への旅のご褒美になるなとも考えた。

バイクを購入した後に、バイクに取り付ける国際ナンバープレートを陸運局で入手した。国際ナンバープレートには漢字が一切なく、英数字のみで構成されていた。それを見ているだけで、既にアメリカに向けて走り出したような気がして、少し誇らしかった。

カルネと呼ばれるフランスの自動車連盟が発行するバイク用の国際パスポートを手に入れた。カルネは、フランス語と英語で書かれた一冊の本のような書類だった。カルネがあれば、どこの国にも自分のバイクで出入り出来るのだ。

運転免許試験場で、国際運転免許証も取得したので、僕が外国をバイクで走る準備は一応出来た。

バイクは東京港からアメリカのロサンゼルス港に船便で送った。その方法が一番確実と判断したからだ。そして、バイクをロサンゼルスに送った後に、自分がアメリカに行くための、片道だけの格安航空チケットを買った。

出発の準備は整った。

1991年6月1日、僕は成田空港にいた。高校時代の友達5人に見送られながら、不安でいっぱいだった。後戻りをすることが出来ないから前に進むしかないのだが、見ず知らずの異国をバイクで走るのかと思うと、とても恐ろしかった。

成田空港で出国手続きの書類を記入する時は手が震えて文字にならず、何度も書き直した。もう日本の地を生きて踏むことはないだろうと思い、涙が止まらなかった。この出国書類は僕の死亡宣告書だなと思った。でも、僕は日本を飛び出すしかなかったのだ。

 

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