謎2 一塊になった個体群

ほとんどの場合、放り込まれて一緒にされたネズミたちは丸缶から出ようとジャンプを繰り返して垂直の壁を登ろうとする。出るのを諦めたとしても、それぞれの個体はまとまりもなく、ただうろうろするだけだった。

中には気持ちを落ち着かせようとして毛繕いを始める個体もいたが、たいていはその場で単独でうずくまっている。

しばらくして2~3頭が一緒になって身を寄せている場合があったので、お互いが旧知の間柄なら、身を寄せ合うことくらいするだろうと思っていた。日頃仲が良くて一緒に行動する場合が多いのなら、不安になった時に身を寄せ合っても不思議ではない。

しかし、これほど多くの小さい個体がしっかりと大きい雌に寄り添って一塊になるのは、この時以外に見たことがなかった。その時には親子が一緒に捕まったのだろうと思い、親子間にしっかりとした絆がある状況を写真として残せたのだと喜んでさえいた。

しかし、解析結果は違和感を覚えるような結果だった。

6個体を頭胴長で表すと(59mm♂,63mm♀,65mm♀,71mm♀,71mm♀,85mm♀)となり、また85mmの雌は妊娠経験のない雌だった。頭胴長とは人間の身長に当たり、尻尾の長さは入っていない。このように多くの個体がぴったりとくっ付いて寄り添っているのを見たのは初めてだったのでてっきり親子だと思い込んでいたが、そうではなかった。