「黒い個体」出現…

4月15日。2台にそれぞれ1頭(8.3g♂)、3頭(6.2g♂,7.3g♂,7.8g♂)の雄ばかりを捕獲した。事務所に連れ帰った時にピーやチーという鳴き声を聞いた。どのような状況でハツカネズミは鳴くのだろうか。

4月18日。10.2gの黒い雄(写真1)を通常の毛色の個体と一緒に捕獲した。以前見た黒い個体より小さいが、それにしても何故黒い個体が出現したのだろう。

[写真1]体全体が黒いのではなく腹部は白かった

謎1 黒個体の出現

黒い個体が通常の毛色の個体と一緒に捕まったということは、色変わりの個体が出現して、たまたまそれが黒色だったということになる。飼育員の方に聞いてみると、2~3年前に販売目的でパンダネズミとカラーネズミを購入したのだが、ケージの隙間が大きくて逃げだしたのだそうだ。

私も以前捕獲したハツカネズミをしばらく飼育したことがある。その時、モルモット用のカゴを使用したのだが、逃げられることを想定して、その籠を最も大きいポリバケツに入れた。すると大きい個体は逃げないが、小さい個体は逃げ出したのを確認している。

飼育員さんの話によると、粘着シートで捕獲した個体の中には、茶色の個体もいたとのことである。この時初めて以前駆除のために粘着シートが使用されていたことを確認した。

パンダネズミ(写真2)とは日本から持ち出されたのちに、洋種のネズミと交配を繰り返して系統として保存されたネズミである。インターネットで検索すると画像がいっぱい出てくるように、愛好家が随分いるらしい。

[写真2]パンダネズミ

しかし、販売展示していて逃げ出した場所からは30mほど離れている。しかも、今は施設を拡張するために作られた舗装されていない幅13mの道路で隔てられてしまっている。一般の車は通らないが、昼にはダンプカーが何台も行き来していて、ネズミが横断するとはとても思えなかった。

そして、工事そのものが始まった時期も2~3年前からだと聞いた。それ以上詳しくは聞いていないが、鶏舎にその子孫がいたことから、過去にパンダネズミに起因する黒色を発色させる遺伝子が混雑個体によって運ばれて鶏舎までやって来たことは間違いなさそうだ。きっと道路が作られる前には容易に行き来できたのだろう。