4カ月以上に及ぶ捕獲の結果を散布図にしてみた
■観察記録
記録して残してある中で、特に面白いと思った事柄を中心に紹介する事にする。
3月11日。飼料粉砕機の周りに餌付けの目的で複数匹捕獲具を3台、連続捕獲具3台、1匹取り捕獲具2台設置を設置し、目撃例のある事務所に連続捕獲具1台をそれぞれフリーモードで設置した。
1回目の点検で、餌付けのために用意した複数匹捕獲の仕掛けのうち1台にネズミが入って食べていることが確認できた。この仕掛けは連続捕獲具に比べて入りやすい構造になっているのですぐに入ったのだろう。2回目の点検時には、同じ捕獲具から黒い個体が出て来るのを目撃した。この黒いネズミの正体は何だろうか? 今までに捕獲したことのあるどのハツカネズミよりも大きく見えた。他の捕獲具には入っていない。数回の餌交換をするうち、いつも喫食のある複数匹捕獲の仕掛けの中がひどく汚れていることに気が付いた。
多くの尿でべとべとしている。この汚れは日数が経過する度にひどくなる。縄張りを示す行為だろうか、尿の付いた足で頻繁に出入りを繰り返したためと思われる。
以前に他のハツカネズミを捕獲したことがある捕獲具を使用したことが原因だろうか? 後日、外国の研究者の報告を読んでいて分かったのだが、ハツカネズミの雄は尿で縄張りをマーキングするそうだ。本来多くの場所に少量の尿でマーキングするのだが、力のある個体ほどそのエリアが広く、数は多い。
雌はというと、マーキングの数は雄に比べて少ないが量が多い。まさしくこれだと思った。しかし、このマーキングの行為は、3~4日に一度、定期的に放り込まれるパンの小片が自分の物であると、周りにいるネズミたちに主張するための行為だ。
この黒い大きい雌が周囲にいるはずの家族集団の一員なら仲良く一緒に食べるはずで、マーキングは必要ない。マーキングは競合する相手に対して行う行為のはずなので、よそ者の可能性が高いということである。
これ以降、前期、後期の捕獲を通じて、餌付けの目的でしばらく食べさせることが数回あったが、多量の尿によるマーキングは観察できなかった。特殊な例であって、餌場荒らしを行っている単独行動ということになる。一体どこから来たのだろう。
3月26日。飼料粉砕機付近に設置した連続捕獲具3台の中のうち1台の中のパンがすべて完食されていた。餌付けができたのだ。