その私の年代から前後の世代を眺めると、両者に異なった特徴があることに気付き、私は長年気になっていました。昭和の価値観が根強く息づく世代と、バブル崩壊後の低成長世代とでは、その性質が大きく違うのは、当然といえば当然です。しかし具体的にどう違うのか、またその原因は何か、私は長年考えを巡らせてきました。

そして私の属する人口の比較的少ない年代が、2つの人口の大きな山に挟まれた過渡期の世代の中心であると同時に、その人生における節目が、戦後社会の転換点と重なってきたという事実に気付きました。

両者の明確なコントラストが、私の世代を境に存在することは、「ひのえうま」を含む人口の「くびれ」世代が、日本社会の性質を分ける分水嶺の世代ではないか、と思えてきたのです。

私は学者ではありませんから、この違いを明確なデータで裏付けながら、論理的に説明することはできません。また小説家でもありませんから、この世代のムードを鮮やかに描く術を持っていません。しかし、私の世代から見た日本の有り様の変化について、体験的に記述することはできます。

その変化を明らかにすることで、今の日本社会が抱える問題点を浮き彫りにし、これからどうしていけば良いのか、ちょっと冒険的な気持ちを込めて考えてみたいと思ったのが、本書を書くきっかけです。視点はあくまで私の個人的な感覚の中にあり、その関心領域には多少偏りと抜け漏れがあることを、最初にお断りしておきます。

しかし、もし同じようなことを考えていたと言う方がいて、その方と共感し合えるものがあるなら、そして、これまであまり語られてこなかった「ひのえうま」前後の世代(「バブル世代」「新人類」などとも言います)の共通感覚が鮮明になり、わずかでも世間の注目を得ることができるなら、その意味があったと嬉しく思います。