そんなある日、深夜のラジオ放送を寝ぼけながら聞いていると、アフリカの砂漠をバイク(自動二輪)で走ったという日本人の女性が体験談を語っていた。

「砂漠というと荒涼とした冷たいイメージがあるかも知れないけど、大地が自分を温かく包んでくれているように感じられた」と言っていた。

その瞬間だった。僕の身体に雷が落ちたような衝撃を受けた。僕がやりたかったのはこれだ。これがやりたかったのだと直感した。

そうだ、広い異国の地をバイクで走ろう。僕はアフリカのことはよく知らない。でも、いつかアメリカに行ってみたいとは、ぼんやりと思っていた。

憧れのアメリカの大地を、どこまでも続く真っすぐな道をバイクで走ろうと決めた。アメリカにも砂漠はきっとあるだろう。そう思うと、アメリカの砂漠をバイクで走る自分自身の姿が見えた気がした。

その瞬間、僕は変わった。人生に失敗したと感じていた僕だが、アメリカをバイクで走ることで、今はまだはっきりしないけど、何か大切なものが見つかる気がした。

いままでの僕は、何の目標も持てないでいたけど、そんな自分は好きではなかったし、同じ場所に留まっていても未来像は何も描けなかったのだから。