「おはよう、アム」
ごはんをあげると、アムはむしゃむしゃと食べ始める。おいしそうだ。パクパク、むしゃむしゃ。あっという間にたいらげる。
アムがご飯を食べる間、弟のショウキもいつも隣(となり)にいる。一緒(いっしょ)にしゃがんで、アムがごはんを食べるのを見ている。ご飯をむしゃむしゃ食べて、アムはどんどん大きくなった。と言っても、まだ3キロぐらいだけれどね。
夏休みに入ったある朝、ぼくが2階からおりてくると、いつものベッドにアムがいない。
「あれっ、アムは?」
リビングをぐるっと見まわすと、アムはソファーの陰にいた。
「へぇー、めずらしいなあ。何してるの?」
と、ごはんを持っていってみると、何だか変だ。アムの様子(ようす)がおかしい。
「おはよう、アム!」
と、頭をなぜようとしたら、アムは後ろ脚をぴーんと立てて、前脚を縮(ちぢ)め、ウーッ、ウーンと苦しそうにうなっていた。「ママ、大変!」
と、ぼくは大声でママを呼んだ。
「マズイ!」
人前で、ママというのはやめようと思ってたんだ。と、一瞬(いっしゅん)思ったけれど、そんなことはかまっちゃいられない。2階にいるママのところへぼくは駆(か)け上がった。ショウキは、ぼくの後をついて回っている。
「ママ、アムが大変!」
ショウキも、真似をして言う。
「ママ、アムが大変!」
「どうしたの?」
「アム、お腹(なか)が痛いみたい。ウーン、ウーン、うなってる!」
ママとぼくらは、また、バタバタと急いで階段をおりた。アムのそばに行くと、ママはアムの頭をそおっとなぜてやりながら、
「どうしたの、アム?」
と、心配そうに様子を見ていたけれど、すぐに、
「ママは、くりちゃん先生の所へ行ってきます」と言った。
ママは落ち着(つ)いている。さすがだ。くりちゃん先生というのは、アムのお医者さん、獣医(じゅうい)さんだ。ママはぼくらに、
「朝ごはんは、テーブルの上に用意してあるから、二人で食べてね。デザートの桃(もも)は冷蔵庫。しっかり食べるのよ。ごはんが終わったら、歯磨(みが)き、顔洗い。その後は、お勉強をしてください。二人で待っていて頂戴(ちょうだい)ね」
と、あれこれと指示をすると、アムをよいしょと抱(かか)えて、ガレージの車に乗せた。こういうときのママはすごい。たいしたもんだ。行動力があるんだよね。
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