ぼくらのアム
ぼくは11歳(さい)。名前はタイキ、小学6年生。弟の名前はショウキ。
6歳、幼稚園の年長組だ。弟の名前はぼくが付けた。パパとママは、今風のショウとしたかったみたいだけれど、ぼくが自分と同じキを付けて、ショウキとした。
ショウキは小さいとき、ぼくの真似ばかりして、とても可愛(かわい)かった。『赤ちゃんはかわいい』なあんて詩にまで書いたくらいだ。
だけど、最近はちょっと生意気だ。だいたい6歳のくせに、ぼくと同等、と思っているところが気に入らない。
呼び方だって、同い年の友達かなんかみたいに、「タイ君!」だもんね。おにいちゃん、なんて呼ばれたことは一度もない。
ぼくは、朝が苦手だ。起きるのがつらい。ママに何度起こされても、
「あー、もうちょっと……。あと5分……」
と寝てしまう。その内、あまりに起きないのでパパが怒(おこ)り出す。
怖(こわ)い。あーあ、最近のパパは超(ちょう)怖い。ところが、ショウキは違(ちが)う。めちゃくちゃ寝起きが良い。何しろ起こされなくても、ちゃんと起きてくる。
内心、「すごい!」と思うけれど、ぼくは絶対に、口には出さない。6歳の弟に負けるなんて、大恥(はじ)だ。
ところが、最近、ぼくは変わった。朝、起きられるようになったんだ。
3か月ほど前の、5月5日の子供の日。我(わ)が家(や)に『ぼくらのアム』がやって来た。アムは3月に生まれたばかりの子犬だ。トイプードル、色はレッド、濃(こ)い茶色だ。
なんで茶色なのにレッドというのかはわからない。目はクリクリ、テディベアカットの頭の毛がふわふわで、触るととっても気持ちが良い。
アムという名前もぼくが付けた。インターネットで色々検索(いろいろけんさく)してみた。
スペイン語で愛(あい)がいっぱい、愛らしいはアモロッソ、amorosoと言うらしい。
「これだ!」
と、閃(ひらめ)いた。初めの2文字をとってAm、アム。なんて可愛い名前なんだろう。自分で付けながら、あまりの素晴らしさに、ショウキに自慢(じまん)した。
「可愛い名前だよね〜」
「じがじさん!」
と、すかさずショウキが舌足らずに可愛い声で言う。ううむ、予想はしていたが、ムカつく。ほんと生意気になったよね。
アムの朝ごはんやり。これが、ぼくの日課(にっか)だ。ぼくが2階からおりてくると、アムはまだベッドの中だ。ぼくの姿を見つけると、起き上がって、まずは伸びをする。前脚(あし)と後ろ脚を一本ずつ、ぴーんと伸ばす。ストレッチは大事だよね。
その後、ゆっくりぼくのそばに寄ってくると、立ち上がって抱っこをせがむ。アムは甘(あま)えん坊(ぼう)なんだ。ぼくがごはんの用意をしている間、しっぽをふりながらぼくの周りを行ったり来たり、もう待ち遠しくて仕方ない、っていう感じ。可愛い。
