ここにいることで、たくさんの人と触れ合えるので、購入してもらえるチャンスも増えるからだろう。

新居は中型犬2頭まで飼えるマンションだったのを思い出した。

「あの黒柴も気になっていて、2匹とも頂こうかなとも思うのですが……」と、お店の方に聞いてみたところ、思わぬ返事が返ってきた。

「この柴犬はすごく気がきつくて、このボーダーとは合わないと思います。ボーダーの性格が歪むから、やめた方が良いですよ」

本当だったら、売れ残りの子は早く手放したいはずだ。

なんと正直なスタッフさんだろうと思った。

彼女の意見に従い、ボーダーコリーの男の子のみを購入することにした。

どうか、あの黒柴の女の子にも良いご縁がありますように!

祈るような気持ちで、別れを告げた。

「顔の白い部分がJだから、『J』にしよう!」

あまりにも簡単に名前も決まった。

1週間だけ預かってもらえるようにお願いして、「J」は我が家の子になった。

「『J』くん、待っててね~! 来週お迎えに来るからね!」

私たちは笑顔で手を振って「J」にバイバイをした。

「J」は首を傾げて目をパチパチさせたあと、尻尾をぶんぶん振ってバイバイをしてくれた。

どうやら、事の経緯をなんとなく理解してくれたようだった。

ボーダーコリー犬が3歳半程度の幼児と同じくらいの知能があることを知ったのは、もっとあとだったけれど、賢そうな目がそれを物語っていた。

南青山のマンションに引っ越した日の夜、夫が車で「J」を迎えに行った。

私も夫も引越し疲れでへとへとだったが、1秒でも早く「J」に会いたかった。

いくつかの犬のおもちゃとともに、「J」は我が家に到着した。

こうして白黒のボーダーコリー犬との生活が始まった。

 

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