しかし、これがさらに一段進んで、ボストロムが言うところの「ソヴリン」なAI、すなわちより広い、中長期的な目的の達成に向けた作業を任される「主権者(sovereign)」とも言えるAIになると、一層自律的な主体性を持ち始めることが予想されます。
実は、オラクル、ジーニーと、ソヴリンとの区分けはそれほど厳格なものではありません。先に挙げたカーナビの例を見ても、基本的にはオラクル型のAIであっても、その発展型を合わせて考えれば、かなり自律的な存在になり得ることが分かってもらえると思います。
2 ゲームソフト
将棋・チェスとDeep Blue
最近私たちの日常で身近になっているAIの具体例として、次に知能で競う各種ゲームのコンピュータープログラムを見てみたいと思います。知能ゲーム用のプログラムは、次の一手は何が良いかを教える点ではオラクルですが、指令を受けて代わりに手を指すことではジーニーの要素もあると言ってよいでしょう。
日本で一番競技人口が多い知能ゲームは将棋です。2016年に14歳の藤井聡太棋士が彗星のように現れ、瞬く間に名人位に上り詰めたことが思い起こされます。これは彼の並外れた才能もさることながら、AIが打つ手を率先して研究している成果でもあることは本人が明かしています。
AIを使って腕を磨くことは今や多くの棋士にとって当たり前の時代になりました。
コンピューターソフトがプロ棋士を公式戦で初めて負かしたのは2013年の将棋電王戦でのことでした。その後はソフトもディープラーニングを搭載するなど改良が続いています。棋士全体のレベルもAIのおかげで以前よりも上がってきていると思われますが、AI自体の進化はそのはるか先を行っていて、すでに人間とAIとは勝負にならなくなりました。
チェスは周知のように将棋の簡略版と言ってよい同種のゲームで、世界の競技人口は格段に多く、7〜8億人とも言われます。
それだけにチェスのコンピューターソフトは他のゲームに先駆けて開発され、1997年には、Deep Blue(ディープ・ブルー)というコンピューターが世界チャンピオンのガルリ・カスパロフを破ったことがゲーム史上の有名な事件として知られています。
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