一方、同じヨーロッパでも、島国であるイギリスの哲学者ロックは「知覚経験の届かない根本原理など考えられない」として大陸側の理論に異を唱えている。
島嶼人であり縄文系人でもある筆者は、ロックの考え方に与するのである。
一般に経験や体験の積み重ねが多いほど社会生活を円滑に営むことができると考えられる。
赤ちゃんよりは小学生、小学生よりは高校生、小人よりは大人と生活に必要な知恵が増していくのが普通であろう。今日経験則は、裁判官の判決にとっても不可欠の判断要素となっている。
従って経験則から導かれる法則や考え方は、近代的でリベラルな考え方に比べ、保守的傾向を帯び、社会規範(法)として拘束力をもつようになってくる。
他方個人の内部に突然に、或いは何とはなしに湧き上がる非感覚的なアイディアは、経験とは無関係で、自由でわがままでもあって、今日の複雑多様な社会をもたらしてきたと考えている。
従って適当な法規制をかけなければ放縦となって、国家や社会を否定し、自分自身さえも否定して、超国家主義的な人物や企業・組織を生み出しかねない。
そうなると社会は、自縄自縛の混乱・閉塞状態に陥って、かつての専制政体や強権体制の国家が林立するのではないかと危惧される。