それから田中不動産の社長が挨拶にきた。
「南條社長、いつもお世話になり、ありがとうございます」
「こちらこそ、お招き頂き、感謝しております」
「こちらが婚約者のお嬢様でしょうか」
俺は沙優を紹介しようとすると、沙優が自ら挨拶してくれた。
「西ノ宮沙優と申します。よろしくお願いします」
「ご丁寧にありがとうございます。私は南條社長にお世話になっております田中不動産の田中勝次と申します。南條社長は若いのに大したお方ですよ、この間の契約も感謝しております」
沙優はキョトンとした表情で、なんて返したら良いか迷っている様子だった。
「沙優、飲み物貰いに行こうか」
「はい」
「では、また後ほど」
「失礼致します」
俺は沙優をその場から連れ出した。
「ごめんな、仕事の話は分からないよな」
「でも、南條さんは取引先の方々から、絶大な信頼を得ているんですね」
「どうかな、ただ一生懸命仕事しているだけだけどな」
「華菜さんは社交的だし、美人だから貢さんの奥様に相応しいと思いますよ」
「沙優だって俺の奥さんに相応しいよ」
沙優は首を大きく横に振り、恥ずかしそうに俯いた。それから次々と取引先の連中に沙優を紹介した。
沙優は、素敵な婚約者ですねと口々に褒められていたが、あくまで謙虚な態度を崩さなかった。やはり沙優を選んで正解だと確信した。
次回更新は3月13日(金)、22時の予定です。
👉『落花流水のように 巡り合い、惹かれ合う男女が織りなす愛のゆくえ』連載記事一覧はこちら