ある日、取引先主催のパーティーに招待された。
「社長、沙優様もお連れください、奥様になられる方ですから」
「分かった、そうしよう」
マンションに戻り、沙優にパーティーの話をした。
「沙優、今度取引先主催のパーティーがある、是非、婚約者の方もお連れくださいと招待された、予定しておいてくれ」
「分かりました、でも、私で大丈夫でしょうか」
「問題ないよ」
沙優は恥ずかしそうに俯いた。
パーティーの当日、俺は沙優に惚れ直した。
「なんかくすぐったいです」
「すごくよく似合うよ」
「そうでしょうか」
俺は鏡の前に沙優を手招いた。
「見てごらん、すごく綺麗だ。俺の方が沙優の隣にいていいんだろうかって思うよ」
「そんなことありません、貢さんはとても素敵です」
沙優は顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。会場に着くと、取引先の連中や以前仕事をした芸能関係の女性達など、次から次へと挨拶にきた。
以前対談したモデルの子も俺に挨拶すべく近づいてきた。
「南條さん、お久しぶりです」
俺は基本興味がない人間は覚えていない。誰だっけかな。
「先日、対談のお仕事をさせて頂いた、モデルのマリです」
そう言って俺の腕に手を絡ませてきた。沙優が一緒にいるのに、なんて女だと思いながら、モデルの手を振り払った。
「失礼、婚約者と一緒なので、遠慮してくれないか」
「あっ、ごめんなさい」
そう言いながら、モデルの子は俺の耳元に近づき「また、連絡して」と囁いた。まるで以前も連絡していたかのような言い方をした。この時沙優の表情が一瞬曇ったように感じたが、この時は気にも止めなかった。