第一章 家族ネタ

歯に衣着せぬ

A 山田さんが、この前えらい怒ってるねん。

B なんでまた。

A 息子が猿に似てるって、言われてんて。

B そら気が悪いで。

A ええんちゃう。猿って言われてた豊臣秀吉も、あんなに出世してるねんからって慰めてあげてん。失礼ねって余計に怒るねん。難しい人やわ。

B そんな時は、ホント失礼な子ね、許せへんわっていうて、味方してるフリせなアカンねん。

A いやめんどくさ。

B それが大人のすることや。

A 大人ってそんな嘘つかなアカンの。

B 思ったことを、そのまま口に出したらアカンねんで。

A 私も考えて言うてんねんで。

B どこがや。

A もし思った通り口に出してたら、猿が聞いたら怒るでって位は言うてるで。

B そんなこと言うたら、もっと怒るで。

A 歯に衣着せなアカンって難しいなあ。この間も友達が死ぬって言うから、死ねばって言ってやってん。

B 止めなアカンやん。

A アンタは冷たい人や。そんな人やと思わなんだって言うねん。

B どう言うて欲しいんやろか。

A 死んだらアカンって言うと、じゃあどないしたらええのんって言う。こうしたらとアドバイスをしたら、そんなんでけへんっていう。勝手にしって言うと、又死にますと言う。

B どうしようもないな。

A そうやろ。二十日鼠じゃあるまいし、きりなくグルグル回って終われへんねん。こんな時あんたならどうする。

B ほんまやな。困るな。

A こんな時も歯に衣着せなアカンのか。何か喉の奥に、魚の骨が刺ってる様な感じやで。いかに賢い私でもまいってまうで。

B あんた賢いか。

A この頭見て、デカイやろ。

B ほんまデカイなあ。