【前回の記事を読む】生徒たちの意見をカッカッカッカッ、とリズムよく白チョークで黒板に書きとめる先生。しかし急に「あっ」と言い、振り返った

第2章

タケは「よっしゃぁぁぁぁぁ! 全部のせゲットォォォ!!!」と叫んでガッツポーズ。坊主頭を激しくヘドバン。

この坊主、やりやがった。策士だ、こいつは。便覧を隠すというトラップを仕掛ける。それから、クラッツィーというワードを田中先生に認識させ、便覧で調べさせるまでの動線まで算段していた。

後からわかったことだが、このクラッツィーという言葉もタケが考え出した嘘偽りの造語だ。しかも「先生が職員室にしばしば世界史便覧を忘れてくる」という誰が興味あんねん、という超地味な田中先生あるあるも、この戦略の中に織り込まれていたことについても、僕は感服の極み。全ては坊主頭の中で構築された算段の元に、『しもた』を誘発させたタケを形容するなら、間違いなく現世に輪廻した軍師・黒田官兵衛なのである。

マコトと小林は悔しそうな表情を浮かべた。その後、クラッツィーという言葉がタケの嘘だったこと、便覧を隠したことの悪戯行為が先生にバレて、勧善懲悪物語のお約束シーンのように田中先生はタケを注意して叱った。

しかしながら、タケはそんな些細な事はどうでもよさそうで、僕らのゲームにおいて一抜け勝利したことを誇るように、生徒用椅子にドシッと座り、僕らを完全無欠のドヤ顔で見下した。その坊主頭に僕らの腸が煮えくり返りまくった。

ラーメンを勝ち取るためには、もう二位の一枠しか残されていない。この一枠をかけて、マコト、小林、僕が争う。

その後、激しい攻防を繰り返しながら、少しの時間が経った。マコトが4本、僕が2本、小林が1本のシュートを放ったのだが、田中選手のファインセーブによりゴールならず。ラーメン並をかけた三つ巴合戦に決着はつかない。

僕らの戦いを俯瞰している優雅で余裕なタケが目に入った。調子に乗った坊主頭が一層腹たつ。