AI創薬、再生医療、mRNAワクチン―かつては遠い未来の話だった技術が、現実の治療に変わりつつあるのです。

そしてその最前線にいるのは、大手企業ではなく、小さなチームで挑む「創薬ベンチャー」。スピードと柔軟さを武器に、高リスク領域に果敢に挑み、医療の未来を前倒しにしています。

米国のモダーナ(Moderna)は、その象徴的な存在です。わずかな研究チームから始まったベンチャーが、パンデミック期にわずか1年足らずでワクチンを実用化し、社会を変えました。

日本でも、iPS細胞による再生医療、患者由来オルガノイドによるがん治療研究、AIによる化合物探索など、大学発ベンチャーが次々に成果を上げています。

写真を拡大 図0-1:医薬品が患者に届くまでの道のり

しかし、創薬ベンチャーの挑戦は決して平坦ではありません。

調達、規制対応、製造体制、知的財産、人材獲得――起業家一人の力では到底抱えきれない課題が押し寄せます。

だからこそ、研究者や起業家を支える「橋渡し役」が必要になります。

資金を供給する投資家、事業を整えるコンサルタント、人材をつなぐリクルーター、そして規制・法律・知財・会計の専門家。これらを結び、課題を整理し、言葉で伝え、合意をつくる存在―それが本書で紹介する「薬業支援家TM」です(図0-2)。

薬業支援家は資格の有無を問いません。必要なのは、聞き出す力、まとめる力、言葉でつなぐ力。営業、教育、金融、法律、コンサルティング―これまでの経験を「創薬」という舞台で活かすことができるのです。

写真を拡大 図0-2:薬業支援家の役割:研究と社会をつなぐ架け橋