「あのね……丈哉と別れて約九年。子供は七歳になるの。今の夫は遊ぶし、子供の面倒も見ないし、浮気もしているようだし、凄く辛いの。いつも丈哉の事ばかり思い出すの。私の子供だったら、丈哉なら一緒に育ててくれて愛してくれると思っている。嫌いになって別れたわけではないし。私の事忘れられなくて、再婚していないんでしょう?」

「…………」

「ねぇ、私と再婚してほしい!」

僕は左手を見せた。

「再婚している」

「その人を本当に愛しているの! 私の代わり?」

腹が立つ。水の入ったグラスを掴んで、

「今、凄く腹が立っている!」

水を飲みほして、テーブルに、ドン!と置いた。大きな音でみんなが見ている。

「水を君にぶっかけたい気持ちを抑えている! 僕を侮辱している! 僕の気持ちはどうでもいいのか? 君の事は愛してなんかいない! 自分で選んだ事だろう。責任を持て! 僕は今とても幸せで、最高の妻がいる。妻がいないと生きていけない程、愛している。二度と連絡するな! 君の携帯は着信拒否する。お願いだから、憎みたくなるような事はしないで欲しい。じゃ、もう会わない」

席を立った。気分が悪い。

「待って、丈哉!」

振り返らない。早く帰って、香子に会いたい。タクシーに急いで乗った。

タクシーに乗ってしばらくしたら気持ちが落ち着いた。久さんのときと一緒だ。

二十分後、家に着いた。

「ただいま!」

「お帰り……」

言い終わらないうちに、強く抱きしめた。

「早く、会いたかった!」

「少し、苦しい……」

「愛している。香子」

 

「大人の恋愛ピックアップ記事」の次回更新は2月22日(日)、12時の予定です。

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