【前回記事を読む】M&Aに潜むリスクの代償…決算前に確認すべき「のれん残高」。含み損に変わる『減損リスク』の具体的な回避法は……

第2章 決算発表前後のアナリストの投資判断に学ぶ

トレンドに乗る順張りが原則だが、短期保有が賢明

具体的なアクションとしては、順張り(株価が上昇しているときに買い、下落しているときに売ること)が賢明と考えます。その理由説明として、もう1つ、アナリストの行動についてお話ししなければなりません。

アナリストたちは、レポートの執筆をしながら、日々機関投資家と話します。

もちろん、公表された投資判断を前提に話すわけですが、相手は百戦錬磨のポートフォリオマネージャーです。特にプラットフォーム系のヘッジファンドで大きなアセット(資産)の運用を任され、なおかつ10年以上も生き残っている天才たちは、ディスカッションのなかで、アナリストたちの微妙なトーンの変化を見逃しません。

アナリストはコンプライアンスルールを遵守して、投資家と対話しているにもかかわらず、こうしたヘッジファンド投資家たちは、ポジションを変動させるのです。

例えば、一貫した買い推奨をアナリストが伝えても、ヘッジファンドマネージャーがアナリストコールの後に株を売却するケースは少なくありません。

結果として、株式市場で強気がコンセンサスの銘柄であっても、少しずつ株価が調整されていきます。ここで個人投資家がとるアクションは、もしポジション銘柄がこうした動きをした場合には、利益確定を前提とした保有株式の売却です。

言い換えれば損切り(損失が生じている株を売って損失を確定させること)の局面とは異なると思います。後ほど述べたいと思いますが、私は個人投資家の皆さんには「ファンダメンタルズの良い会社」に投資していただきたいので、損切りの必要はあまりないと考えます。

株価チャートで売買をされる個人投資家であれば、売買サインが点灯した段階で損切りをすることで資産を守ることができますから、私はそれ自体を否定する立場にはありません。

アナリストのレーティングが低く、決算前に上昇した銘柄は決算を受け再び下落のケースが多い

株価チャートの話が出ましたので、もう1つ付け加えたいと思います。アナリストのレーティングが「中立」以下の銘柄で、過去のチャートで、毎四半期、決算発表の1か月くらい前から株価が上昇し、決算数字を見て、翌日暴落する会社があります。

私がかつて担当していた会社にもありました。アナリストだった私のレーティングは「売り」でした。弱気がコンセンサスの銘柄で、ショート(売り)ポジションを続けたヘッジファンドは、決算が仮にポジティブサプライズであれば大きな損失を被るので、決算前になるとショートカバー(売りポジションのクローズ=買い戻し)をする場合が少なくありません。