【前回の記事を読む】ロバが突進してきたので、身をかわして後ろへ回った。ロバの両耳を後ろからつかみ、とどめを刺そうとすると…
エピソード1 愛と平和の使者
第二章 サライの生い立ち
そこに、ムライの愛弟子のセイカがテレパシーでサライに語りかけた。
『サライ、……わが血にて、えいあのかぎり……』
サライは、はっとして、思い起こした。父親であるムライが教えてくれたことを……。
サライは、自分が手にしていた『ムライ』をリッテンハイムの前に投げ出した。リッテンハイムは、それまでの緊張感をなくして隙を作ってしまった。
サライは、「わが血にて、えいあのかぎり」と、声を出して語り、素手でリッテンハイムに向かっていった。相手は虚を突かれ、サライの一撃によって、その場に倒れた。
これによって、結果は出たのである。サライは、「星の国 勇者武術大会」の優勝者となった。
かに座大星雲の全体を取り仕切る星の国の王様は、サライを王宮に招き入れ、歓迎の宴を設けた。そして、その時に与えられた名前が、アライである。一族の代表とみなされる者に一族の称号が与えられるのである。
アライは、引き続き自己鍛錬を行い、ムライのもとで修行に励んでいった。
そのアライに、使命が与えられたのは、十八歳の時である。星の国も、龍の国と同じように、農業はしなくても、自然に食物が自生する素晴らしい環境であった。
人々のスピリチュアルはかなりのもので、愛と誠によって、人々は生活をしていた。ゆえに、『自分たちの国の支配が宇宙すべてにとって、一番良いものである』と誰もが思っていた。
そうした中で、龍の国が、自分たちの支配が真に宇宙の平和をもたらすと言っているではないか?
このことによって、星と龍は互いに牽制し合う関係となっていった。しだいに、互いの摩擦がこじれ合い、天の覇権を巡って、争う関係になったのである。
そうした中で、アライは、王様から使命を受けたのだ。
王様は言った。
「アライよ、【星の宝】と言える人を見つけ出し、世界を星の輝きで満たすようにしなさい」
さらに、「龍の国へ行って、その国の状況を探り、適時星の国へ報告をするように」
アライは、王に敬意を示すとともに、自分が受けた使命を果たすべく、龍の国に侵入する決意をするのだった。