雷子が、女相撲ジャーナルの三人を和泉式部の支度部屋に案内しようと戻ったが、三人は居なかった。

「どこ行ったんだろう」と思って、支度部屋の扉を開けたら、三人が右近にお茶と御菓子を振る舞われていた。

「ダメでしょ。中に入れたら」と雷子は言った。

立ったままで待たすのは悪いと、右近が考え、三人に、おもてなしをしていたのだ。

支度部屋に入って来た道長も、この状況に驚いたが、女相撲ジャーナルの三人が女相撲に不勉強だったのを理解し、ここ(支度部屋)であったことは口外しないという条件で、そのまま三人が食べ終わるまで滞在することを許した。

そして、女相撲ジャーナルの三人は、この約束を守り抜いた。

女相撲ジャーナルは、他の女相撲雑誌の連中とは違って、右近や桜田部屋を貶(おとし)めるような記事は、一切書かなかった。それどころか、レジェンド女力士の巴や坂額を特集する等、桜田部屋に友好的であった為、他の女相撲雑誌から仲間外れにされていた。

その、女相撲ジャーナルの佐波が、テレビで女相撲を語る番組にゲスト出演するというので、右近達も番組を見ていた。

そこには、元女力士で女相撲雑誌に記事も書いている女性も出演していたが、彼女は右近に良い印象を持っておらず、噂レベルの右近の悪評を語り始め、司会者も困惑し、他のゲストも苦笑するしかなかったが、これに、猛然と反論したのが佐波であった。

「私は皆様同様、右近関のことはよく知りません。でも、あなたが言うような傲慢で無神経な人では絶対にないと思います。確かに女相撲マスコミには無視をする方針を取っていますが、花道で戻る際に、客席から「弁当、旨かったぞ」と声が掛かれば、その方向に何度も頭下げていましたよ。優しい人ですよ。絶対に優しい人に違いないですよ」と佐波は言い返していた。

自分よりも身体の大きな元女力士に、敢然と向かっていく佐波を見て、道長は「マスコミに味方なんか居ないと思っていたのに」と呟いた。

 

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