【前回記事を読む】COVID-19が重症化しやすい高齢者…「メラトニンの減少」を抑えることで、リスクは軽減できる。普段の食事では…

自然とつながる健康アイテム
その1 日光

紫外線Aと近赤外線は、血管内皮で一酸化窒素を産生させる

一酸化窒素(NO)は、血管内皮(血管の最も内側の層)によって産生されるシグナル分子であり、重要な内因性血管拡張剤です。

健康なヒトを対象とした研究では、ほどほどの紫外線A(UVA)に曝露(地中海の真昼の太陽に約30分当たることに相当)されると、一酸化窒素の放出と関連して動脈抵抗が弛緩することが示されています。UVAへの曝露により、体温や血清ビタミンD値とは無関係に血圧が低下します。

慢性血液透析患者の大規模コホートでも、紫外線への曝露量が血圧と逆相関することが確認されています。

一酸化窒素の放出は、近赤外線を浴びても生じます。近赤外線は、紫外線よりずっと深い組織に届くので、一酸化窒素の放出は深い組織で生じます。

日光を浴びる機会が少ない人は、心血管死亡リスクが2倍高い

習慣的に日光を浴びる機会が少ない人は、日光を浴びる機会が多い人に比べて心血管死亡リスクが2倍高いこと、また日中の心筋梗塞の発症は夏の日照時間が長くなるにつれて減少することも、事実として知られています。

日光をほどほどに浴びることは、高血圧対策になる

高血圧は、現在のさまざまな薬物療法にもかかわらず、非感染性疾患の主要な原因となっています。紫外線Aや近赤外線が含まれる日光をほどほどに浴びることは、薬ばかりに頼らない基本的な高血圧対策となる可能性があります。

高血圧対策として、食塩摂取量を減らす、カリウムの多く含まれる野菜を多く摂取する、適度な運動をするといった対策とともに、基本的な生活習慣として日光を浴びることも考慮する必要があります。

日光は、肥満とメタボリック症候群の発症を抑制する可能性がある

マウスモデルでは、紫外線照射によって、肥満と2型糖尿病の発症が抑制されました。これらの効果はビタミンDの補充では再現されませんでした。日光曝露は、ビタミンDに依存しない機序により、肥満とメタボリック症候群の発症を抑制する効果的な手段となる可能性が示唆されています。

肥満傾向の女性を対象とした研究では、午前6~9時の間約45分間、1,300ルクス程度の明るい光を3週間浴びてもらったところ、プラセボ対照群に比べて体脂肪率が減少し、食欲が低下したことが確認されています。

また別の減量試験では、毎日30分の非常に強い光(1万ルクス)への曝露を運動療法と併用した群には、弱い光(500ルクス)しか浴びない群に比較して減量効果があったとの報告があります。

朝の日光が、食欲抑制ホルモン(レプチン)を増加させ食欲増進ホルモン(グレリン)を減少させて、食欲・体重管理にプラスの効果をもたらす可能性が示されています。