【前回の記事を読む】「断食中は、薬は飲まないほうがいいよ。飲みたかったら、半分にするとかしたほうがいい」ヨガインストラクターからのアドバイス
繋がり
そうして五人は、伊豆高原駅から五十分ほど一緒に列車に乗り、熱海駅に到着した。里紗はここで下車し、電車を乗り継いで厚木へ戻った。小田急線の本厚木駅に着くと、夫の真一が車で迎えに来てくれていた。空腹でたまらなかった里紗は、「うどん屋さんに連れてって」とお願いした。そして、二日ぶりの食事となるうどんを食べ、家に帰ると横になった。
里紗は、今回の合宿に参加して、ヨガは、自分の体をきれいにするだけでなく、その言葉の持つ意味通りに、人と人を繋げてくれることを肌で感じていた。
〝また、みんなに会いたい〟
そう思いながら眠りについた。
はじめての子守
ある日曜日の朝、かなえは海老名(えびな)駅から小田急線に乗り、二駅先の本厚木駅へと向かっていた。
〝あーあ、休みの日にまで、通勤定期を使うことになるとはね…〟
こうなったのは、おとといの金曜日の昼休みに、同僚の美咲に頼まれたからだ。
「今度の日曜日、空いている?」
「空いているけど…」
「お願いがあるんだけど、日曜日は夫婦で出かける用事があるから、息子を一日預かってほしいの」
「そんな…。私、子どもの扱いなんてわからないよ」
その子は五歳だという。
美咲と交わした会話を思い返していると、電車は、あっという間に目的地に着いた。本厚木の駅前は、職場があるので毎日見ている光景だが、日曜日のそれは、平日よりもたくさんの人が行き交っている。
かなえは、事前に美咲から、彼女の自宅までの、おおよその行き方は教えてもらっていたが、念のため、その住所をスマートフォンの地図アプリに入力して道順を検索した。
〝まずは、あつぎ大通りへ……〟
路線バスが走るこの大きな通りには、飲食店や商店が軒(のき)を連ねる。そんな賑(にぎ)やかな通りを歩きながら、
〝私に子守なんて、できるのだろうか。子どもいないし、独身だし〟
と、かなえは相変わらず不安を抱えていた。