まえがき

ジョン・F・ケネディ大統領が、史上最年少の43歳でアメリカ大統領に就任した時、世界はにわかに陽がさしてきて明るくなったように感じたものでした。

キューバ危機(62年。ソ連製のミサイルがキューバに配備され、その撤去をめぐってソビエトと対立、フルシチョフソ連首相と交渉し、撤去が成立)により、あわや第三次世界大戦か、という危険が去り胸をなでおろしたものでした。

ところが63年テキサスのダラスで暗殺され弟のロバート・ケネディ司法長官も暗殺された。さらに末弟のテッド・ケネディも女性秘書が溺死する事故を起こした。大統領夫人のジャクリーンはアメリカを去り、ギリシャの海運王オナシスと結婚した。

こうした一連の事故によってケネディ家の評判はにわかに暗転、ケネディ家は、その富を築く過程において、よからぬ事情があったのではないかという風評が流れた。

但し、ジョセフ・ケネディは投資家だが犯罪歴はない。

そのような出版物も刊行された。このような問題は科学的に検証しても答は出ない。

ただ、このような考え方は、古くから東洋にあった。

易経の坤(こん)の文言伝に「積善の家に余慶あり、積悪の家に余殃(おう)あり」とある。善事を積めば、子孫に幸福がやってくる。悪事を積めば、子孫に不幸がやってくる、というほどの意味である。仏教では因果応報といっている。

現実世界ではどうであるか。立派な仕事をしながら暗殺されたリンカーンのような政治家もいれば、自然災害で亡くなる人もいる。易経や仏教の思想は、人間レベルにおける、「アラマホシキ」(そうであればいい)という思想で世界全体の現象を説明するものではない。