小島君のこと

映画のシナリオは高度の技術がいる。プロになると商売気が邪魔して劇としてのまとまりを重視してしまう。大勢のライター志望を指導してきて発想の奇抜さに自身勉強になったことが何度もあった。

小島卓也は高田門下の最高齢で最も熱心で頑固一徹、何十年、おなじ題材、おなじ人物を追い求めて、やっと、成果を世に問うことになった。

上古から、江戸、昭和へと、若者の冒険、庶民の夢、軍人の野望、三作共に粗削りながら鮮烈な熱気がある、荒廃しきった当今の映画界に一石を投じる執念は映画を無心に愛する真のファンなればこそ、商売になる、そんな声があがるような予感はある。

脚本家・高田宏治

走れ安兵衛 ―安兵衛の恋・逢わずして許我(こが)ゆく駕籠に―

古河藩の足軽、馬場安兵衛は生れつきの俊足を買われ、藩の飛脚をしています。 お人好しの安兵衛はその性格が災いし、失態を犯し、お役御免となり江戸へ出ます。

しかし、その安兵衛には、ある目的が。 幕末を舞台に、老中安藤、アメリカ公使ハリス、その通訳ヒュースケン、イギリス公使オールコックとの交わりの中で、ある事件をきっかけに、安兵衛はその俊足を外国の健脚自慢と争うことになります。しかし、安兵衛の本当の目的は?

安兵衛の声が響きます。「日本のためでなく、江戸のためでなく、お多恵様と太郎坊のため」

(登場人物)

馬場安兵衛(ばばやすべえ)(男30)古河(こが)藩の足軽飛脚

世津(せつ)(女23)安兵衛の長屋の隣に越してきた寡婦。実は古河藩藩主の寵愛を受けたお多恵(たえ)の方

太郎坊(たろうぼう)(男5)世津の息子。実は古河藩主の落し胤(だね)

一之助(いちのすけ)(男23)安兵衛、世津が住む長屋の管理者

次郎吉(じろきち)(男30)飛脚。安兵衛のライバル

安藤信正(あんどうのぶまさ)(男42)幕府老中

大杉監物(おおすぎけんもつ)(男40)古河藩国家老

鷲見泉石(わしみせんせき)(男60)古河藩江戸家老

ハリス 米国公使

ヒュースケン 米国公使館の通詞

オールコック 英国公使

トム 俊足の黒人。ハリスのコック

スミス 白人の海軍将校。クロスカントリー英国王者

山田屋八左衛門(やまだやはちざえもん)(男60)飛脚問屋主人

般若(はんにゃ)の鬼造(おにぞう)(男50)目明し

森山他吉(もりやまたきち)(男35)通詞