【前回記事を読む】病気で失った髪を蘇らせる、「再現美容師」。部分ウィッグとバレないように、髪1本1本を見ながらコテを入れていき…
第一章 再現美容師の仕事
再現美容師……部分ウィッグ編
「ゆずぅ〜〜〜っ」
HK様の癒し系のお声に魅了されながら口ずさみ、施術タイム15分。だから、あったかい飲み物飲めたのにぃ。
時間かかるのとちがうとぉ?って言ってたけど、わたしは数分でできるとイメトレしてるから(笑)。心配性なんやね、真面目な子。
そして、スリーショット。カシャ!
ゆずちゃん!! どこ見てんねん、ほんまに、音楽の影響力ってあると思いませんか!?
この前の医療ウィッグ製作時は、お客様が以前バンドされていた方で、ハードロック調の選曲だったので、ウィッグを縫ってる時、手こずりました(笑)。
ハード過ぎたので、選曲が……。今からウィッグカット本気でしていくけれど、このハードロックな曲を耳にしながら、目の前のウィッグカットに全神経全集中せなあかん!! 試練や!!
過去……再現美容師駆け出しの、出張してた頃、患者さんのお母様が極限の潔癖症で、室内でのカットはご法度!!との事でした。
患者様は体調優れないのにお母様にものすごく気を遣われて、とても可哀想だった。
心で泣きながら、玄関先で準備開始。半畳くらいの玄関先で、出張した時命懸けのウィッグ製作でした。この狭さに椅子を置いたので鏡は置けなくて、鏡を見ながら確認できひんって……。
キツイ試練がやって来たなぁ。心の中で呟いた。やれる!! やったる!! 自分は絶対にできる!! 心から強く念じました。
2人揃ったら、ほんまに身動きとれない。でもやらないとあかん!!
背中に変な汗がタラリ。患者さんも抗がん剤治療中で、早く仕上がって身体を寝かしたいはず!! ぐずぐずしてたらあかん!!!! わたしがやらかしてしまったら、目の前の大切な患者さんが悪者になってしまうから。
身動きとりにくいこの狭い空間でも、絶対に何が何でも、患者さんの分身を作りあげたる!!!!
過去を振り返ると、色んな試練乗り越えてきたなぁ……。
ほんまに命懸けやわ。苦難な経験ほど、心身逞しく成長させてくれる宝物となる。
この人のためだけに、ただ、それだけの気持ちひとつ。
再現美容師としてのお仕事は、学び得る事、無限大。
心、強く、逞しく。
そして……笑顔やね。