予定通り動けないなんて情けないけど、健常者には一生分かってもらえないだろうし、分かろうともされないだろう。結局、
『自分の一番好きな場所が、一番安心する』なんて。
何度躓こうと、また好きな場所へ帰りたくなるなんて。都合良く聞こえるのだろうな。
密閉空間で大人数だとしても、自分にとって好きな場所が、心には最高の薬だなんて。
当選メールが届いた時、感動して嬉しい気持ちがとても大きかった。
そのはずが、気持ちは半々になっていた。
「こういうふうに挑戦した時の応募って、なぜか当たるんだよね」そう言ったのはイベントの2日前。
急に会場の外に出たくなってしまったらどうしよう、外の空気に触れたくなってしまったら……。考え始めたらきりがなくて、大きな不安ものしかかって。
でも、行ってみたかったイベント。好きな人たちを、直接生で見られる貴重な空間。
大丈夫、薬をあらかじめ飲んでおいて、イベントに参加しよう。薬が効かなかった事は今まで一度も無い。
大丈夫、大丈夫……せっかく当選したんだから楽しみたい。
そうやって自分に言い聞かせる事しかできなかった。
ここまで、電車は全て各駅停車。ゆっくり時間をかけて来た。
会場に着いて、大勢の人を目の当たりにした時、急に怖くなり、人混みから少し離れた。どうしようと思う焦りが、頭をグルグル回った。そして、
「イベントへご参加の方は二列に並んでください!」と、係の人の声で一回、目を閉じた。呼吸を整え、ヨシッ!と、気合いを入れて列に並んだ。
そして全ての始まりは、この時だったんだ。