左手の斜め上方への突き上げ「アクション」
村上投手は、バッターをこのようにきりきり舞いさせるように、更に工夫を施していきます。村上投手も岩崎投手ほど、一直線ではありませんが、投球において左足を接地する前に、短時間それに近い「アクション」を行い、前に弧を描いて接地します。
体の開きが止められるとともに、接地後の上向き方向の力も、「リリース」後の「フォロースルー」においてボールに伝えることができます。
「ポイント」となるのは、グローブをはめている左手の動きです。右足を、段をつけながら後ろ斜めに捻ると同時に、左手を前に、斜め上方に突き出します。この「アクション」で高さを生み出しています。
顔を三塁側に向けることによるロックも解除されていますので、左肩と右肩は連動する状況です。左手を上方に突き出すことで、右肩の沈み込みを獲得できます。そこからボールを投げることになりますので、右手は自然と上がり、左手は自然と下がります。
そのときに右手は、沈み込みの反動を利用して、勢いよく高い位置まで「スムース」に上げることができます。右手・右肩と左手・左肩は「シーソー」の関係で、片方が下がれば、片方は上がります。
村上投手の場合、右足を一直線そのものにしないのも、そうしてしまうと、せき止めていた前に進む力を一気に放出することになるので、左手も水平から下方向に力を持っていかれてしまうため、そこを緩めて、左手を前に、斜め上方に動かす「アクション」に割く力を残しているものと考えられます。
腕を振る「スペース」があれば、腕を思い切り振ることができますので、重力がそれだけ得られ、ボールの浮力も得ることができます。その場合、体が開いていると、上から下への力も削がれますが、体を開かないよう「ピッチングフォーム」で工夫していますので、威力も大きくなります。
腕を振るスペースが狭い場合は、肘を梃子にして、腕を回転させる方法はありますが、肘への負担は掛かることになります。
