教えていただいていたある武道の師範は、修行は一本に絞ったほうが良いといわれました。「師のおっしゃる通りだ」と思いつつ、しかし絞りきれないままの探求の人生を歩いてきたのは、私の業(カルマ)かも知れません。決して他の方におすすめ出来る道とはいえません。

ただ今日の世界の中でインターネットの発達で膨大な情報が集めることが出来ると共に、いやでも情報にさらされる中で、何が正しいのか何を礎として生きていったら良いのかをまさに各個人がしっかりと考えていかなければならないそんな時代、そんな社会であると思うのです。

根っことなるもの基礎となるもの、ベースとなるものを各自がしっかり掴まなければ、時代に流され翻弄されるような人生になるという時代だとも思うのです。

その基礎になる考え方が、私が接した先生方の教えの中にあるように思います。いやあると断言してもいいと思います。この本で私の求道人生をさらすことになりますが、その中で素晴らしい先生方あるいはその教えを知っていただければ目的は達せられたと考えております。どうぞ、「求道」の旅を私と共にお付き合い下さい。

第一章 求道とは何か

この本は「求道(ぐどう)」をテーマとした本です。そもそも求道とは何なのでしょうか? そのあたりから考えてみたいと思います。

辞書を引けば「求道」とは、「①仏道を求めること。菩提・仏果を求めること。②転じて、真理を求めること」(『広辞苑』第七版・岩波書店)、あるいは「安心立命の道をもとめること」(『新選 国語辞典』第六版・小学館)などとあります。

「真理」という言葉が出てきましたが、その「真理」とは、「①ほんとうの道理。②論理の法則にかなった正しい知識・判断。③どこでも、いつでも通用する妥当な知識・認識」と書かれています。