「ごめんなさい」
「あやまる事はないよ。人は皆いつか死ぬんだから」
「……でも、そんな早くになんて……」
しばらく沈黙があった。だが、次の瞬間には明るい声で神矢が言った。
「で、じゃぁ、日曜日はどうなの?」と、神矢は屈託なく聞いた。
私は少し考えた。私は男性とつき合った事がなかった。
これで三日連続して、お茶を一緒にしているが、これはデートなのだろうか? いやデートだったら、もっとあちこちへ行って、手をつないだり、キスしたりするはずだ……。
神矢はあさっての日曜日に会えるかと聞いている……つまり、どこかへ行ってデートする気だろう。
そしたら、ふつうの恋人関係になってしまう……そうすると、その先は結婚!? だが、お互い、結婚はしない主義だ。デートして何になるだろう……。
「日曜日は、洗濯や掃除をしたり、買い物や色々……。だから、このままじゃダメですか?」
「そう……。じゃぁ、来週も、お昼に会えるんだね」
「えぇ。必ず来ます」
「わかった。無理を言ってすまなかった。僕は縛られるのが嫌いでね。同じように君を縛りたくない。このままでいよう」
神矢は大人で、どこまでも寛容だった。私は割り勘でと言ったが、またおごってもらってしまった。