「君といると僕はいつも新鮮な気持ちになるんだよ。キャラも変わるんだ。だから生き生きした魚の目のように、香子、僕はいつでも食べ頃だよって、アピールしているよ」と抱きついてきた。

それからしばらくすると、

「来週から一週間残業が続くから、夕飯はいらないからね。大きなプロジェクトのプレゼンの準備がある。寂しいが、我慢してプロジェクトを成功させる。だから今日は激しく愛しますよ。覚悟を」

「嫌ね~、私はいつも側にいるでしょう」さぁ、甘い夜の始まり。

丈哉さんの会社。

「企画部、営業部、資料作成と、すべての情報を収集し、システムに組み入れる作業と取説の準備。PC入力部、誤字、脱字、しっかり何度も確認して、見本の取り寄せ必着日を確認して。プロジェクトチーム、写真の順番確認、資料の順番間違えるな。事務、資料に目を通し、ページの順番、資料の抜けが無いか、4~5回は確認して」

山岡専務の声が響いている。

「会社の大きなプロジェクトだ。五社競争だ。四社は我が社よりも大きな会社だ。だが知識と企画力と情報収集力は負けていない。あとは準備次第だ」

夜九時まで続いた。みんな、必死にこなしている。心地よい疲れだ。

「今日は、ここまでだ。さぁ、帰って。明日も忙しいぞ。帰って休むんだ」

四日目。

「資料は揃ったな。確認作業は済んだな、あとは製本だな。あとは最終確認してプレゼンの練習だ。もう少しだ。頑張れ」

プレゼン担当、

「声が裏返っているぞ」

「そこはしっかり言う、そこは語尾を強く」

「専務、見本を!」

「分かった。よく聞いて、真似られるとこはそのまままねろ」

「皆様、こんにちは。今日は、吉田ホールディングスの集大成として発表いたします。今回の提案はこちらです」

「そこでプロジェクター入る。オーケー!」

「吉田ホールディングスは……」

「専務、今回是非、ほしい物件です! 専務がプレゼンお願い出来ませんか!」と部長。

社員全員が僕を見ている。