私ってこんなに押す人だったかな。ビックリしている。返事がない。また、インターホンを押す。

「お願いいたします。面接だけでも。絶対後悔しますよ。直ぐ働けます!」

「……分かりました。面接だけですね。どうぞ」

勝手口の鍵が開いた。

「失礼します!」

入れたけど次、どうしよう。よし! 思った事を話そう。勝手口のドアが開いた。

「失礼します。上がります」

ビビってしまうくらい怖そうなご主人。お台所の食卓に案内された。

「どうぞ、お座りください」

「ありがとうございます」

「どうぞ、自己アピールを」

「私は、離婚をして独り者です。銀行に十七年間勤めましたが、自分の好きな事をして生きていきたいと思い、この町に来ました。私は、家事が大好きです。自分の意思を曲げて銀行に入ったのですが、離婚を機に、人生を楽しみたいのです。好きな事をして生きていきたいのです。一日中、お台所に居たいのです。幸せになりたいのです」

「変わった方だ。給料はたくさん、出せませんよ」

「いくらでもいいです。住むところがあれば」

「分かりました。まず、三か月はテスト期間でいいですか?」

「ええ、お願いいたします」

スッと立って、

「私の好きなように触っていいですか? 使い勝手のいいように」

「いいですよ」